プライベートコンサル、地域コンサル支援想定事例
プライベートコンサル支援想定事例 (普及活動実績からの想定)
課題 鉢物新品目の開発:ヒペリカムの鉢物化(と今後の産地化への働きかけ)
鉢花既存品目(シクラメン、ボロニア等)が安定生産期から価格低迷期に入り、この打開策が経営上の大きな課題になってきた中で新品目開発により打開した事例
〔上伊那農業改良普及センター時代(2001〈平成13〉年から現在):それ以前からの懸案、継続取り組み〕
駒ヶ根市の塩沢 崇さん(現県国際農友会会長)から既存の鉢花(シクラメン+ボロニア)経営が価格の低迷等で収益の維持ができなくなって来ているので新品目の開発をして欲しい、との要請(当時、原村試験地勤務)から始まる。

対応 1 新品目の選定:オランダの市場で切花で最も伸びの大きいヒペリカムという品目を鉢物化すれば、国内では始めてで市場や消費者への提案型品目となり、国内のイニシアティブを取れるだろうと提案、オランダの資料等の情報提供を行い、取り組むこととなる。


対応 2 切花用を鉢物化するための技術開発
試験設計 わい化剤の選定、濃度、使用時期、方法の組み立て。 塩沢さん圃場で上伊那普及センター職員(当時、下伊那普及センター勤務)と共同で試験を実施、2年間で確立。ねらいどうりの草姿の鉢物生産技術を開発、国内で初の快挙、しかも短期間で。


対応 3 植物特許が切花用になっているものを鉢物に適用してもらうための交渉〔種苗導入契約をしている大手種苗会社(オランダの国内代理店)との仲介〕 国内初の技術開発結果を持って、種苗業界とも経験上の人脈があるため、当事者間を結びつけ、鉢物栽培の契約に成功。種苗会社にとっても国内初の出来事。


対応 4 試作から本格生産、経営の切り替えへ
試験時の出荷時期による販売に成功。規模の拡大と周年に近い出荷をするための栽培技術の組み立てを指導。ヒペリカムを拡大、市場も新品目で国内初であり、高価格で取引され、経営もヒペリカムが主体となり建て直る。


対応 5 競争力の確保
オランダでヒペリカム鉢物の草姿の優れたものがあるとの情報が別のルートから入る。
2000年に訪問しているオランダの種苗会社K社を2002年再度訪問。
草姿の良い鉢物生産技術の内容調査、新品種の特性確認、コスト(特許料)低減のために直接輸入又は増殖権取得の可能性の確認を行う。


対応 6 現在、塩沢さんによる鉢物生産者へのヒペリカム鉢物産地づくりへの働きかけ。
産地づくりによりヒペリカムの鉢物流通量が増大すれば、認知度が高まり品目の産業としての消費の拡大が期待できる。また、種苗単位が大きくまとまれば、新品種を安価に利用できるオランダとの直接取引き契約が可能となるため、国内外の他産地との競争力をも持つことになり、安定した鉢物生産体制が構築できる。 


  写真 [ 切花用ヒペリカムを鉢物化するための技術開発 過程 ] 

1 農家圃場でのミニテスト実施
2 わい化剤、濃度等の確定

3 実用化栽培:生育後期

4 実用化栽培:出荷期

5 出荷用成品


地域振興コンサル支援想定事例(普及活動実績からの想定)

事例−1  課題:アルストロメリア産地化への普及活動

〔上伊那農業改良普及所時代(1978〈昭和53〉年から1986〈61〉年)〕

 昭和50年代は新品目導入の著しく盛んだった時代、勤務の上伊那地域管内も同様、既存の切花大品目のカーネーション、新テッポウユリ以外に約70の切花新品目が導入されていた。新しい品目の産地としての定着を図るには有望品目を絞り、生産誘導を生産者を含めた関係者一丸となって行う必要があった。

 有望品目のアルストロメリアへの決定は普及者として5年の知識集積の準備期間を費やしてきた品目を展開する機会であった。 詳しくは主張を参照。

別表:アルストロメリア産地化への普及活動へリンク

事例−2  課題:飯田・下伊那地域のラン振興

〔下伊那農業改良普及センター時代(1997〈平成9〉年から1992〈11〉年)〕   なお同蘭植物園は平成21−22年に閉鎖されました

(1) 高森町の蘭植物園設立支援

  (現在の高森町蘭植物園園長)唐沢耕司先生を地元・関係者に理解を深める活動:昭和50年台から先生との交際があり、県下関係技術者の中で先生を最も知っていると思われる立場での取り組み。

  町理事者、関係者や議員さんの植物園設置の決断判断情報の提供

(2) 公開講座の開催による蘭の理解者の拡大・産業化のための振興機運の醸成

 長期視点で見ると、養蚕業の衰退から果樹産業に移った、その果樹産業が現在低迷し、伊那谷の新産業起こしが求められている中、唐沢先生に伊那谷に蘭の産業を興すことに御協力(メイン講師)いただき、高森町をその核としてゆくことのための支援を目標に実施。蘭が高根の花という意識の改革をねらい、愛好家・生産者・趣味・生産に興味を持つ人を地元・南信地域で公募100名余の登録者で8回開催。

 実行委員会の組織化、運営等の内部リーダー役を果たす。また、自らもオランダ、イギリス、ベルギーを調査してきている結果を踏まえ「ヨーロッパにおけるランの生産・消費形態について」を講義。

 普及センターの目標である生産に繋がる人の発掘20%の確保、後継者育成を同時進行、蘭植物園が設置され、先生の指導による後継者の蘭栽培が始まった。また、植物園を中心にした産業化のための同好会組織も発足した。

(3) 南信農業試験場と唐沢先生との連携調整による地域振興への技術組み立て

 試験研究への協力・分担、試験場職員の資質向上等の調整役を実施

実施されたラン公開講座の内容
ラン公開講座開催要領

 講座のねらいについて
 飯伊農業の花き既存栽培品目は生産、消費に停滞感が見られ、新しい作目、品目が求められている。ランの管内における栽培は現況少ないが、多様な生産・消費の趣向を捉えられること、立地に合った品目が選定できること、種類を選べば栽培が比較的容易であること等から将来的な栽培品目として有望と考えられる。そこでランの特性を広く知ってもらう機会をつくり、生産や消費に対する理解者を増やすとともに生産拡大への誘導を行い、新しい産業の確立を目指すため、飯田市・下伊那郡下、他地区に広く参加者を募りランの啓蒙も含めて公開講座を開催する。

 主催 ラン公開講座実行委員会 〔農業改良普及センター、下伊那地方事務所、高森町、JAみなみ信州、長野県経済連南信事業所、飯田花卉組合を構成員とし講座の運営に当たる〕

 後援 美しい信州の花推進協議会、南信州広域連合、下伊那農業振興協議会、下伊那園芸振興協議会

 講座の開催時期及び方法 初回を2月に開催、以降2ヶ月毎継続的に開催する。(総論は4回程度) 講座の内容は別紙による。

 講師 理学博士 唐澤耕司先生 

 対象 ランの生産を志向する者、愛好家等100名(飯田市・下伊那郡下在住者及び他地区の者)

 経費 各組織・団体他、受講者より講座1回毎1,000円程度を徴収し運営に当てる。

 周知の仕方について 一般を対象とし、市町村広報、有線放送、報道機関等を活用して広く参加を呼びかける。

 参加申し込み方法 普及センター、市町村窓口で受け付け、普及センターで取りまとめる。

10 会場 飯田合同庁舎講堂または地場産業センターまたは高森町福祉センター大ホール等。

回数
開催時期
開催場所
講座内容
講師
平成12年2月22日
pm 1:00〜4:40
地場産業センター
(飯田市上郷別府)
オリエンテーション
ランの世界
(1)ランの魅力について
(2)ランの流通について
(3)ヨーロッパにおけるランの生産流通形態について
事務局
唐澤博士
豊明花き
小笠原氏
大平課長
平成12年5月11日
pm 2:00〜4:20
飯田文化会館
オリエンテーション
資源植物としての収集について
唐澤博士
平成12年6月30日
pm 2:00〜4:20
飯田文化会館
ランの生態と多様性について?
唐澤博士
平成12年8月8日
pm 2:00〜4:20
飯田文化会館
ランの生態と多様性について?
(下伊那における適地性等)
唐澤博士
平成12年10月27日
pm 2:00〜4:20
豊丘村交流センター
「だいち」
長野県のラン研究の紹介
管理の実際とランの何でも相談
南信農試
酒井技師
唐澤博士
平成12年12月12日
pm 1:30〜4:20
豊丘村交流センター
「だいち」
ランの産業化について
(1)シンビジウム 
1シンビジウムの原種・原産地の状況
2シンビジウムの産業化について
唐澤博士
河野メリクロン河野
社長
平成13年2月16日
pm 2:00〜4:20
飯田文化会館
ランの産業化について
(1)デンドロビウム 
1デンドロビウムの原種・原産地の状況
2栽培のポイントと産業化について
唐澤博士
平成13年5月22日
pm 2:00〜4:00
飯田文化会館
飯伊におけるランの産業化について
閉講式
唐澤博士
事務局
写真1 [ ラン公開講座のひとコマ ]
1 唐澤先生とラン 2 聴講の様子
写真2 [ 高森町蘭植物園:蘭ミュージアムの概要:蘭植物園青山場長提供 ]
1 蘭ミュージアム正面入り口 2 展望喫茶室・展示室・大温室 3 栽培室:建物 ・大温室の東側に6棟
4 迎えるホール内のディスプレー 5展示室での展示カトレヤ:定期的に変える 6 同左 デンドロビウム
7 大温室のの内部 8 同左
9 栽培室大温室の展示を支える  10 展望喫茶室と南アルプスの眺望
11 入り口近くに設置されている売店 12 高森町町内で開始された若い経営者によるラン栽培
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